「以前より疲れやすくなった」「歩く速さが落ちた」「体重が知らないうちに減ってきた」——加齢に伴うこうした心身の活力の低下は、フレイル(虚弱)、あるいはその前段階であるプレフレイルと呼ばれる状態かもしれません。フレイルは放置すると要介護へと進みやすい一方で、早めの対策によって戻りやすい(可逆的な)時期があることも分かってきています。
いわた脳神経外科クリニックでは、患者様ご自身の脂肪から採取した幹細胞を点滴で投与する再生医療を、自由診療としてご提供しています。このページでは、考え方・対象となる方・治療の流れ・リスク・体制について、誇張のない言葉でご説明します。
本治療は、加齢で低下した身体機能を細胞レベルから支えることを目指す医療的アプローチです。美容を目的とした施術ではありません。
また、本治療は新しい治療法であり、現時点で有効性・安全性の科学的検証が十分に確立しているわけではありません。すべての方に効果が現れるとは限らず、効果には個人差があります。だからこそ当院は、ご納得いただいてから進めることを大切にしています。まずはお気軽にご相談ください。
年齢を重ねるなかで、次のような変化を感じることはないでしょうか。いくつか思い当たる方は、フレイル・プレフレイルの観点から一度ご自身の状態を見直してみる価値があります。
※これらは医学的なフレイルの評価項目に対応した一例です。あてはまる項目があっても過度にご心配なさる必要はありません。状態の把握と対策の第一歩として、診察でご相談ください。
フレイルとは、加齢や慢性的な疾患によって筋力・体力・免疫機能が低下し、転倒や疲労を起こしやすくなるなど、身体的・精神的・社会的な活力が減退した状態を指します。放置すると要介護状態へ進行するリスクが高まるため、早めの対策が重要です。一方で、適切な働きかけによって元の状態に戻りやすい時期でもあり、可逆性が期待できる点が特徴です。
フレイルの判定にはさまざまな基準がありますが、日本老年医学会が示す代表的な基準では、以下の5項目のうち3項目以上に該当する場合をフレイル、1〜2項目に該当する場合をその前段階であるプレフレイルと判断します。
| 評価項目 | 該当の目安 |
|---|---|
| 体重減少 | 意図しない年間4.5kg、または5%以上の体重減少 |
| 疲労感 | 何をするのも面倒だと週に3〜4日以上感じる |
| 歩行速度の低下 | 通常歩行時の速度が1.0m/秒未満 |
| 握力の低下 | 男性26kg以下、女性18kg以下 |
| 身体活動量の低下 | 定期的な運動をしていない、または体を動かす機会が減っている |
プレフレイルは、フレイルへ進む手前の段階です。この時期に運動・栄養・生活習慣の見直しといった対策を始めることが、将来の介護予防の観点からも大切だと考えられています。
本治療では、患者様ご自身の脂肪組織から採取した自己脂肪由来幹細胞(間葉系幹細胞)を、細胞培養加工施設で増殖・培養したうえで、点滴により体内へ戻します。自分自身の細胞を用いるため、免疫的な拒絶反応やアレルギー反応のリスクが極めて低いことが特長です。
点滴で戻された幹細胞は、全身を巡りながら損傷や炎症のある組織へ集まる性質があるとされ、これをホーミング効果と呼びます。集まった部位では、幹細胞がさまざまな成分を分泌することで周囲の組織にはたらきかけると考えられており、これをパラクライン効果と呼びます。
培養した自己脂肪由来幹細胞(間葉系幹細胞)を、腕からの点滴で体内に戻します。細胞は血流に乗って全身をめぐります。
全身をめぐるなかで、損傷や炎症のある組織へ集まる性質があるとされています。
集まった部位で成長因子(IGF-1・HGF・VEGF など)を分泌し、周囲の組織にはたらきかけると考えられています。
※ホーミング効果・パラクライン効果は研究段階で報告されている仕組みであり、効果を保証するものではありません。効果の現れ方には個人差があります。
※上記は幹細胞のはたらきとして報告・期待されている作用であり、効果を保証するものではありません。効果の現れ方には個人差があります。
本治療は「病気を治す」治療ではなく、からだが整いやすい環境を後押しする可能性のある治療と位置づけています。高額な自由診療だからこそ、当院は次の姿勢を大切にしています。
安全のため、以下に該当する方は本治療をお受けいただけません。また、同意後であっても、事前検査の結果によってはお受けいただけない場合があります。
本治療は、おおむね次の流れで進みます。脂肪採取は日帰りで、入院は必要ありません。
同意いただいたうえで診察と血液検査を行います。血液検査にはB型・C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、梅毒の感染症検査等が含まれます。結果によっては治療をお受けいただけない場合があります。
腹部・臀部・鼠径部または大腿部から脂肪組織を採取します。採取方法は、局所麻酔下で小切開し10〜30ml程度を吸引する「吸引法」と、1〜3g程度を切除する「ブロック法」があり、状態とご希望をふまえて決定します。あわせて、培養のために血液を200ml程度(通常の献血400mlより少量)採取します。
採取した創部は縫合し、皮下出血や傷跡を防ぐため圧迫固定します。院内で安静にして容態を確認し、問題がなければご帰宅いただけます。術後1週間は飲酒・喫煙を控え、2週間は激しい運動を控えてください。シャワーは術後3日目以降、防水テープを貼って行ってください。
採取した脂肪は細胞培養加工施設へ搬送され、幹細胞を分離して一定数まで培養します。品質を確認する試験を経て、約6週間後に当院へ搬送され、点滴で投与します。投与後は約30分休憩し、体調に問題のないことを確認してご帰宅いただきます。投与する細胞数・回数・間隔は、医師と患者様で協議のうえ決定します。
治療の安全性・有効性の確認と健康状態の把握のため、治療後の通院・診察にご協力をお願いしています。問診や評価、画像検査等を行います。以降の検診や投与については医師とご相談ください。
本治療にはメリットだけでなくリスクもあります。すべての方にご希望どおりの効果が得られるとは限りません。脂肪の採取や細胞の投与に伴い、以下のような合併症・副作用が生じることがあります。誠実にお伝えしたうえで、ご判断いただきたいと考えています。
| 場面 | 主な合併症・副作用 |
|---|---|
| 脂肪採取時 | 皮下血腫(程度により腹部皮膚の色素沈着)、創部からの出血、創部の疼痛・腫脹、出血による貧血、アナフィラキシー反応(冷汗・吐気・嘔吐・腹痛・呼吸困難・血圧低下・ショック状態など)、腹膜穿孔 |
| 細胞投与時 | アナフィラキシー反応、肺塞栓(注入した細胞による肺血管の閉塞。重い場合は呼吸困難)、穿刺部の痛み・内出血・神経障害(手足のしびれなど) |
過去に、因果関係は明確にされていないものの、自家培養脂肪由来幹細胞の投与後に死亡した例が報告されています。当院は、こうしたリスクを正確にお伝えしたうえで、安全管理を徹底して治療にあたります。
※ご帰宅後に呼吸困難・胸痛・手足のしびれ・ふらつき等の症状が出た場合は、すぐに緊急連絡先へご連絡ください。
本治療は公的医療保険制度の適用対象外のため、自由診療(全額自己負担)となります。診察・血液検査・脂肪採取・細胞の培養/投与・細胞保管などにかかる費用が含まれます。
| 項目 | 費用(税込) |
|---|---|
| 診察料 | 3,300 円 |
| 血液検査料(通常便) | 11,000 円 |
| 血液検査料(特急便) | 66,000 円 |
| 脂肪採取料 | 660,000 円 |
| 自家脂肪由来幹細胞投与 1回 | 2,200,000 円 |
| 自家脂肪由来幹細胞投与 3回目セット | 5,500,000 円 |
| 細胞保管費用(1か月あたり) | 11,000 円 |
※細胞数による料金の変更はございません。
| 時期 | キャンセル費用 |
|---|---|
| 脂肪採取日の8日前まで | なし |
| 脂肪採取日の7日前から | 予約金の全額 |
| 対象 | 変更できる期限 |
|---|---|
| 脂肪採取 | 採取日の8日前まで(7日前からは変更できません) |
| 細胞投与 | 投与日の15日前まで(14日前からは変更できません) |
※2回目以降で脂肪採取を伴わない治療については、追加採血の日を基準とします。
※日程変更・キャンセルのお申し出は、お電話またはご来院にて承ります。
自己脂肪由来幹細胞を用いた治療は、2014年施行の「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき、医師の責任のもとで計画・実施されます。本治療の提供計画は、厚生労働大臣が認定した第三者の委員会による審査を経て、厚生労働省へ届け出ています。
このページの内容は、いわた脳神経外科クリニック 院長 岩田亮一が監修しています。
本治療が適しているかどうかは、お一人おひとりの状態によって異なります。
カウンセリングで状態と適応を見極めたうえで、ご納得いただいてから進めます。